革に感謝

革に感謝

趣味でレザークラフトを楽しんでいます。作り手の目線で感じたことを書き留め、少しでも誰かの役に立てたらなと思います。

テンセグリティ

ありがとうございます。

さだです。

 

 

久しぶりの投稿です。

今回は作品交換会でテンセグリティ構造のペン立てを作った話です。


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まず、テンセグリティって何?という人のために簡単に説明します。

 

テンセグリティ(tensegrity)は、tension(張力)とintegrity(統合)を合成した造語だそうです。

 

今回のペン立てだと、糸の張り具合だけで上側の革を支えて革が浮いてるように見える不思議な構造です。

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まず頭の中で糸が無い状態を想像してください。

画像中央の糸(赤矢印)で上側の革を吊り上げます。

そのままでは不安定なので左右どちらか(緑矢印)に倒れようとします。

それを別の糸(青矢印)で下方向に引っ張ることで倒れないように支えています。

イメージできましたか?

 

「糸だけで支える」のを強調したかったので、極力縫わずに作ることを心掛けました。

縫わないということは芯材を入れられないということ。つまり革のハリ·コシだけで形状を維持しなくてはいけないということになります。

 

私が扱った革の中で一番硬かったのは、アンドレザーさんのトレイ用の豚革です。

アンドレザーさんのサイトで買い物をするとオマケで一枚もらえる革で、水で濡らすと柔らかくなって簡単に曲げられますが、乾くとカチカチになってその形状を維持してくれます。

この革なら芯材なくても自立してくれるはず!

失敗するのも考慮して数枚購入し、いざ製作へ!

 

厚紙で試作を作り、糸を張る位置を確認。

なんとか自立してますが、ペンを入れると厚紙が曲がってしまい、強度が足りません。

でもこの形状なら、例の豚革の硬さがあれば製作可能と判断。

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それにしてもこの革、とても硬いのでカットするのも一苦労。

水を含ませ柔らかくしながら地道に同じ形を4枚切り出します。

ベースボールステッチで2枚繋いだものを2セット作り、形を整えて乾燥させます。

そのうち1セットには木製の円板(直径90mm)をボンドで接着して重りも兼ねた底板にします。

 

長めにカットした糸を6本用意し、蝋引きしておきます。

全ての糸を通したら、張りを調整していきます。

糸の端は返し縫いにしています。張り具合の微調整に向いていると考えたからです。

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テンセグリティ最重要の張り調整ですが、治具を使って簡単に調整する方法を考えました。

 

厚紙で作った試作の奥にピンクとブルーの板が見えていますが、コレが調整のための治具です。

同じ幅の長方形の板を2枚用意し、一辺だけテープで繋いで反対側は開くようにしておきます。

治具の準備はこれだけです。

 

下側の革の上にこの治具を少し開いた状態で立て、その上に上側の革を置きます。これで上下平行をキープできます。三点以上で支えれば安定するので、開き具合は適当で構いません。

 

あとは緩んでいる糸を少しずつ張っていき、全ての糸に軽くテンションがかかる状態にします。

治具を抜き取り、上下平行に自立していればOKです。

問題なければ糸の端をカットし、ライターで炙って処理すれば完成です。

 

ペンはもちろん、スリッカーを入れても倒れず自立できました。ペン立てとしての最低限の強度はありそうです。ただし、重いものを入れたり上に置いたりすると、上下に伸ばした革が曲がってしまい、支えられなくなるので耐久性はそんなに高くなさそうですね。まぁ革が曲がったら指で整えれば復活できるので良しとしましょう。

 

ペン立ての製作は以上です。

テンセグリティ構造は見てるだけで楽しくなるので、スマホスタンドを浮かせてみようと考えてます。

 

こんな感じのやつです。

充電しながら縦置きできるスマホスタンドをそのうち作ってみたいですね。それまでは100均のスタンドに頑張ってもらいます。

 

今回の記事は以上です。

 

ではまた!

箔押し機がなくても箔押しができるウチハク

ありがとうございます。

さだです。

 

 

マスクをちょい置きしたい時に便利なマスククリップを作りました。

形状がシンプルなので、簡単に装飾できるいいアイデアはないかと悩んでいたところにテレビで紹介されていたのが村田金箔さんの『ウチハク』です。

 

作ったマスククリップはこちら。f:id:sadacraft:20230323174844j:image


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中にマグネットを仕込んでいるので、マスクをガッチリとホールドしてくれます。

奥のクロスステッチを施してある方は車のサンバイザーに付けておくもので、こちらにもマグネットを仕込んであります。

クリップでマスクをホールドしてサンバイザーにちょい置きできる優れものです。


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このクリップは先端に突起をつけてあり、しかもその突起を中心からずらしておくことで指が掛かりやすくなり、がま口のように簡単に開くことができます。

これは我ながらナイスアイデア

 

とても便利なこのクリップ、欠点はサンバイザーに付ける際に50%の確率でマグネットに弾かれること。表も裏も同じ形状なので正解を見分けられず、毎回ギャンブルさせられてしまいます。

これが地味にストレスなので、片側にウチハクで装飾して目印にもしてしまおうと試してみました。

 

このウチハク、貼り方はとても簡単で、一般的なスティックのりや両面テープで貼るだけ。 ※詳しくは村田金箔さんのHPを見てください。

 

私は普通のスティックのりを使いましたが、専用のグルーペンの方が綺麗に貼れると思いました。

スティックのりは均一に塗ることができず、厚く塗ってしまった部分は乾きにくいため、箔が乗らなくてムラになりやすいです。

もし厚く塗ってしまった場合でも箔を当ててから乾ききるまでしっかり待てば綺麗に貼ることができますし、ムラになっても箔を貼った上から重ねて貼ることもできてリカバリー可能なのでご安心を。

 

箔を貼った後、一日くらいおいてのりが完全に乾けば簡単に剥がれる心配はありません。

試しに指の腹で擦ってみましたが剥がれませんでした。

結局はのりの強度に依存しますが、爪や尖ったもので意図的にガリガリしなければ剥がれないと思います。

不可抗力で剥がれてしまっても、また貼り直せばいいだけなので、気軽に使えるのもメリットだと思います。

 

村田金箔さんのHPを拝見するとBASEで公式販売されており、24色セットもあります。

Amazonで販売されている方も

 

従来は箔押し機がないとできなかった箔押しが、手軽に使えるのは画期的だと思います。

工夫次第で作風の幅が拡がりますね。

この記事を読んで少しでも興味を持たれた方は是非試してみてください。

 

ではまた!

裁ほう上手はアイロンなしでOK?

ありがとうございます。

さだです。

 

今回は『裁ほう上手』をアイロンなしで使った場合、強度的に大丈夫なの?て疑問に思ったので試してみたというお話です。

 

『裁ほう上手』には液体のボンドを塗ってアイロンをかけて固めるタイプと、スティックタイプでアイロン不要のものの2種類があります。

材料を比較すると別物なので、強度も当然違います。

 

スティックタイプの方は、メーカーのコニシさんがHPで公表されている通り、アイロンなしでも強度的に全く問題ありませんが、やはりアイロンをかけるタイプの方が強度は上のようです。

 

私が疑問に思ったのは、液体の方をアイロンなしで使っても問題ないかということ。

コニシさんはアイロンを使うことを推奨されていますが、アイロンを出すのも片付けるのも面倒な私としては、強度が優れている液体タイプをアイロンなしで使いたいのです。

 

私が作りたいのは、帆布を使った大きめのヒップバッグです。通勤でトートバッグを持って長く歩くのがあまり好きではないので。

 

それではバッグにする予定の帆布を使って、アイロンなしで問題ないか検証です。


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パッケージ裏面には、「アイロンを使用しない場合も接着可能」と小さく書いてあります。

「アイロンでさらに強力・速乾接着」と太字で書いてあるので、アイロンなしでは強度が落ちるし乾くのに時間がかかるということですね。

 

それでは帆布で試してみます。


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これくらいの量でいけるのかな?

クリップで固定して10分くらい放置。

そろそろかなと手で引っ張ったら意外と簡単に剥がれてしまいました。

まだ乾ききってなかったみたいです。

一時間くらい放置しても頼りない感じ。

量を倍くらいにして一晩放置したらしっかり接着できてました。

 

❮❮結論❯❯

アイロンを使えば圧倒的に早く強く接着できるので、アイロン使用がベスト!

アイロン使いたくない、または使えない場合はスティックタイプの方が早く作れます。

ただし、スティックタイプは減るのが早いので、一本で接着できる距離に限界があります。作る物によっては二本あると安心です。

 

液体タイプをアイロンなしのパターンは、強度は問題ないですが、ズレやすいし時間がかかり過ぎるので私はオススメしません。

 

こんな感じでした。

どれくらいの差があるのか気になる方は、端切れで実際に試してみてください。

コニシさんの技術力の高さがよく分かりますよ。

 

 

 

ではまた!